「桃太郎」のお伴はなぜ犬、猿、雉だったのか?

西遊記玄奘三蔵は、猿、豚、河童の三匹をお伴にしたが、「桃太郎」はなぜ犬、猿、雉をお伴にしたのか? 滝沢馬琴の『燕石雜志』には、「鬼ケ島は鬼門を表わせり。之に逆するに、西西の方申酉戌(さる・とり・いぬ)をもってす」と記されている。つまり「『鬼門』は鬼が出入りするといって忌みきらう方角で、東北(うしとら)の方角である。これは『陰』であって陽にあたるのが南西(ひつじさる)の方向である。うしとらに住む鬼を退治するには、対極の『陽』に位置するものでなければならない。そこにはひつじ・さる・とり・いぬが並んでいる。羊は弱者であるから除かれてさる・とり・いぬがえらばれる。」(滑川道夫『桃太郎像の変容』東京書籍、昭和56年)ということで、三匹の動物は偶然選ばれたのではなく、十干十二支の方位説による深い意味があるようだ。写真は「新版昔咄之画」中央が桃太郎。