2012-05-02 郄橋忠弥(1912〜2001年)の代表的な装丁といえば昭和31年第1回中央公論新人賞を受賞しベストセラーになった深沢七郎『楢山節考』(昭和32年)だろう。忠弥はサイン収集のターゲットである戦中にも佐々木邦『夫婦讃歌』(昭和17年)などたくさんの装丁を残しているが、その何れにもサインを見つけることができない。1965(昭和40)年に渡仏したころから絵が明るくなる。佐藤愛子『加納大尉夫人』(昭和44年)の装画は、滞仏中に描いたものでビビットで明るい色調が心地よい。