桃太郎は本当に桃から生まれたのか? 桃太郎の誕生シーンを並べてみよう。



『桃太郎一代記』(絵:北尾政美、天明元年)では、右のページが桃を食べているおじいさんとおばあさんが描かれている。左のページでは若返った自分を手鏡で見て喜んでいるところが描かれている。これが回春型と云われている桃太郎だ。若返った老夫婦が、桃からではなく股(もも)から生んだのだ。


私たちがよく知っているのは、桃の実を割ると、中から男の子が飛び出してくる、いわゆる果生型と呼ばれる話だ。



『桃太郎鬼ヶ島でん』(絵:国政、明治14年、ほるぷ復刻版)
生まれた時から大人びていたんですね。明治期の本の多くは、このようなおじさん風の桃太郎が飛び出してきている。



『ちりめん本MOMOTARO』(弘文社、明治18年



『小学国文読本』巻之三(山県悌三著、明治25年



『優良コドモエホン 桃太郎』(絵:宮地志行、昭和15年



絵:田中針水、文:浜田広介『モモタラウ』(フタバ書院成光館、昭和18年



『ももたろう』(講談社の児童絵本、構成:人形座美術部、発行年不明)



絵:瀬川康男、文:松谷みよ子『ももたろう』(講談社、昭和45年)
この挿絵はすごい。回春型と果生型の両方を描こうとしているのだろうか。単なる文章の説明の域を超え、瀬川独自のメッセージを込めた表現へと向かっており、完成度の高い一幅の絵画になっている。