扉も版画家・恩地孝四郎の面目躍如

木目を刷り出すのは、創作版画といわれるこの時代の版画家が得意とした手法である。そんな木目を利用した扉も見事な木版画である。裏面にバレンの跡があるので、手摺り木版画かと思われる。題字は、『江戸城総攻め』と同じように篆書体を用いている。私にとっては、読みにくい書体ですが、無理に読もうとせずモチーフのひとつなんだと割り切ってしまえば、文字はおしゃれなモチーフのひとつでもある。