浅野薫の落款にある耳のようなマークは何なんだろうか? 今日はその解読に挑戦してみようと思う。


まずは、浅野薫の落款をたくさん並べてみる事にした。毎回少しずつ変わる書き方の違いから、何かわかるのではないかという期待を込めて、集めてみた。「薫」はすでに上にあるので下の耳のかたちには「浅野」と書くのが普通であろう。



にらめっこしながら、「あさの」「あさの」と繰り返しているうちに、まわりの耳のような形が「乃」あるいは「の」のように見えてきた。さらに一番左、及び左から2番目のマークの上の部分に「A」と判読できる文字がある。これは浅野の「A」ではないかと思う。


「あ」と「の」が見つかったとすれば残りは、「さ」又は「SA」「sa」と読めれば「浅野」を漢字とローマ字で記号化したものであるといえるのではないだろうか。

浅野薫の新たな情報をゲットした。

落款蒐集を進めていくうちに浅野碌耳というさし絵家が出てきた。この新たな資料を厶比べてみると浅野薫と浅野碌耳は同一人物なのではないかと思われる共通の特徴を数ヶ所見つける事が出来た。




上段の5個並んだ一番右の浅野薫が書く「画」と、下段の浅野碌耳が書く二つの「画」という字がよく似ている。耳の形も同じだ。これで浅野薫のサインになぜ耳の形が用いられていたかが解明できた。薫の雅号が「碌耳」であり、浅野の文字を耳野かたちにも見立てたサインを考えたものと思われる。これにて一件落着〜!!

ネットで、略歴もわかった。

この浅野薫さんが昭和3年の浅野薫と同一人物ならば、最近倒産した新風社からの自費出版と思われる絵本だが、現役の絵本作家のようだ。
著書=『いのししの夫婦』(新風舎 、2006/06)
原作・絵/浅野薫 文/浅野都『猫のカルテット』(新風社、2005年06月21日)

浅野薫/創作絵本作家。東京都生まれ。国際基督教大独文科卒業。KFS童画グランプリ奨励賞受賞。小学館童画新人コンクール大賞受賞。童画芸術家協会展、創作絵本グループ「ZOO」展に毎年出品。趣味でヴァイオリン演奏に親しむ。自身のオーケストラ所属活動に基づいてこの作品の原作を書く。現在、中野区にて稀に見る性格の悪い猫に振り回されて暮らしている。(「BOOK著者紹介情報」より)

ちょっと気を良くしたので、ついでにもう一人解読します。

これを魅せられてもいきなりは読めないでしょう。文字は理解できても言葉にはならないからだ。




これは本田庄太郎の落款だ。そうとわかれば後は謎解きごっこなので、遊び心を理解するにはこちらの気分もかなりリラックスしないと理解できない。ジョーダンだろう、という感じの落款もたくさんあるからだ。まず誰でも「ショ」は読めますよね。「AO」も読める。この「A」が曲者で、「TA」と「R」をかねているのではないかと推察する。そうすれば一件落着だ。