一の宮とはそれぞれの地域でナンバーワンの神社を意味するようだ。


今、全国の一の宮巡りが静かなブームになっているという。知人の恵美嘉樹さんが、そんな人気の一の宮・全国68ヶ所を網羅ガイドした本(税込価格760円、文庫判)だ。装丁:片岡忠彦



画像が消えてしまったのは(旧サーバーから新サーバーへデータをコピーする処理を行いましたが、この処理に問題があり、お使いのフォトライフで、10/12 14:00 から 10/13 14:00 までにアップされた画像が失われてしまいました。大変申し訳ございません。)ということでした。


身近なところでは、多摩市一丿宮にある小野神社、さいたま市大宮区高鼻町の氷川神社。神奈川県高座郡寒川町の寒川神社。千葉県館山市大神宮の安房神社などが紹介されている。ガイドブックと謳っているだけあってそれぞれ、詳細な地図が掲載されているのが当たり前だが親切だ。


読み物としても十分に楽しめるだけの蘊蓄が書かれていているのがそんじょそこらのガイドブックとは一味違うところだ。たとえば小野神社についてはこんな風だ。書き出しを引用させてもらうと、


「首都・東京都を含む地域、武蔵の一の宮はどこかと問われて、「小野神社」と答えることのできる人は果たして何人いるだろうか。それもそのはず、現在の小野神社は、一の宮のなかではかなり規模の小さな神社といってよい。社務所には神主が常駐しておらず、ご朱印をもらうためには電話で呼び、来てもらわなくてはならない。


しかし、歴史をひもといてみれば、その格の高さと規模の小ささにはそれなりの理由があることに気付く。一の宮に似た制度に総社がある。中央から地方に派遣された国司が赴任すると手始めの仕事として国内の各地をまわって神々をまつる。一の宮はその最初に参拝すべき神社を定めたものといわれる。


しかし、わざわざ各地に行くのは面倒だ。それなら神を一ヶ所に集めてまったことにしてしまおうという、いかにも安易な”手抜き”の制度が総社である。……」


と、足をつかって集めた情報と、文献をひも解いての解説に、自分の視点での感想も加えて、読み物としてもかなり楽しめる構成になっている。

知人だが本名を教えられない


恵美嘉樹ペンネームだが、「恵美」は奥さんの名前から取ったのではないそうだ。かつて私が編集した「紙魚の手帳」に本名で執筆していただいたこともありました。著者紹介には、「旅を通じて、歴史研究の最前線の成果を社会に還元する二人組み。慶応義塾大、明治大の大学・大学院にて、日本史、世界史を専攻。歴史書の編集者や航空会社の国際広報等をへて、日本初の歴史旅コンサルタントを結成する。……(略)」
とあり、学術書も書けるほどの本格派、筋金入りの歴史旅愛好家の二人の初めての出版物を紹介しました。乞うご購読。