2011-07-17から1日間の記事一覧

付録「さしゑ』3号(平凡社、昭和10年)から宮川曼魚「春仙禮讃記」を引用させてもらおう。春仙は夏目漱石「三四郎」や泉鏡花「白鷺」、島崎藤村「春」などの挿絵を描いたことで知られる挿絵画家だ。

「名取春仙の繪に、私が、はじめて接したのは、たしか明治四十四・五年頃であつたと憶えている。 その頃は、毎朝舊魚河岸の上総屋といふ鰻問屋へ買出しにいってゐたので、ある朝、その歸りに瀬戸物町へ出て、高津(にんべん)の前に在つた本屋へ新刊書を見に…