2009-12-07から1日間の記事一覧

青山二郎の装丁の最盛期は、昭和10年代とも言われている。中野重治『子供と花』(沙羅書店、昭和10年)、中村光夫『二葉亭論』(芝書店、昭和11年)、中原中也『在りし日の歌』(創元社、昭和13年)、川上徹太郎『道徳と教養』(実業の日本社、昭和15年)などが、その代表的な作品だ。

中野重治『子供と花』(沙羅書店、昭和10年) 中原中也『在りし日の歌』(創元社、昭和13年) 中村光夫『二葉亭論』(芝書店、昭和11年) 川上徹太郎『道徳と教養』(実業の日本社、昭和15年)

青山二郎の装丁料がほぼ大卒の初任給と同じだ、と言う事が分ったが、時代によってものの価値観が違うので、それだけでは客観的な換算にはならないので、別の方法で換算して見よう。同一出版社からの出版物と言っても書物の価格は一定ではないので、この方法も的確な方法とは言えないかも知れないが、刊本の定価に換算すると何冊分だったのか、という事を計算してみよう。

手もとにあるのは ・北条民雄『いのちの初夜』(創元社、昭和11年)定價壹円三十銭 の場合だと、50円÷1.3円=約38.5冊分に相当する。 ・柳田国男『昔話と文学』(創元社、昭和13年)定價壹円貳十銭 の場合だと、50円÷1.2円=約41.7冊分に相当する。 北条民雄…