2009-09-03から1日間の記事一覧

もう一つは、中一弥氏は右利きなのだろう。右手で円弧を描くときは、左半分は巧く描けるが、右半分を描くのは難しい。鉛筆のような先端が堅い筆記具の場合はまだ書きやすいが、筆で描くとなるとかなり難しい。80年ものキャリアがある一弥氏に、そんな苦手意識があるはずもなかろうが、私の場合は、紙を回転させて右側の円弧になるようにして描いている。

さらに、筆記具はやや右側に傾けて使うことが多いので、穂先の左側はよく見えるが、右側は見にくく、筆の傾きの下側の面にあたる部分は、きれいな線を描きにくい。こんなことが、左向きの顔がたくさん描かれる理由ではなかろうか。 この説が正しいなら、左利…

考えられる理由は2つある。その一つ目は、タテ組の文章の場合は、右の行から左の行へと読み進むため、その流れに沿って人間の向きや動きや顔の方向も右から左えと向かっていたほうが自然なのだろう。右向きの顏の場合は、忘れ物をして戻っている場合とか、争いをしていて形勢逆転するシーンとかは、それまでの流れを変えるわけだから、逆に進むような表現の方が効果的に表現できるのではないだろうか。

でもそれだけの理由だとしたら、タテ組の文章の挿絵はみんな左を向いていなければならなくなってしまう。 中一弥:画、乙川優三郎「麗しき花実」164(朝日新聞、2009年) 中一弥:画、乙川優三郎「麗しき花実」167(朝日新聞、2009年) 中一弥:画、乙川優三…

新聞が回収袋3袋分も溜まって回収に出す寸前だったので、今朝は6時に起きて新聞小説、中一弥:画、乙川優三郎「麗しき花実」(朝日新聞、2009年)の切り抜きをやった。40回分ほどの切り抜きができた。切り取りながら、床に並べられた挿絵を眺めていて、登場人物が一人の場合は、なぜかほとんどの顔が左を向いていることに気がついた。

中一弥:画、乙川優三郎「麗しき花実」143(朝日新聞、2009年) 中一弥:画、乙川優三郎「麗しき花実」156(朝日新聞、2009年) 中一弥:画、乙川優三郎「麗しき花実」161(朝日新聞、2009年)