2006-03-06から1日間の記事一覧

斎藤のコンプレックス

『自分がいつもいふことは、装幀は必ずしも画家を煩わさんでも著者自身の希望を根本にして、その足らざる部分だけを理解ある画家、若しくはその方面の人に謀ることが最も適当であると思ってゐる。自分には無論絵心はないからでもあるが、この一、二年、以上…

円本の造本を批判 

それというのも斎藤はかねがね装丁について「円本の流行は読者層の開拓には曾てない貢献はあったが、ために造本術は反比例して粗雑に流れ且堕落したことも事実であった。一部に限定版とか特殊な装幀本の要求は実にその反動から来たものと見ねばならない。』…

書物展望社にしてはカラフルな

立原鐡臣装画、斎藤昌三装丁、西川滿『赤嵌記』(書物展望社、昭和17年12月初版)は、イラストを使って装丁することが少ない斎藤昌三装丁本には、珍しくカラフルな感じの本である。