恩地孝四郎の装丁-1

 私から依頼したわけではないけれど、八木書店の恋塚さんから「DVD版美術新報」で「恩地孝四郎」を検索し、その結果を送ってくれた。八木社長の心遣いであろう。それにしても300冊にも及ぶ冊子から、簡単に検索をかけることが出来るとは、驚きである。図書館で本を繰っていたら、どのくらい時間がかかるかわからない。それどころか雑誌を全巻揃えることも困難である。

 送っていただいたデーターによると「恩地孝四郎」でヒットしたのは4件。
その一つ「美術新報」(通巻第貳百四拾参號、大正三年)の「藝苑月誌」には、「二十六日 △??二十七日 京橋五郎兵衛町港屋呉服店竹久夢二恩地孝四郎外數氏の油畫水彩泥人形を展覧せる。」との記載がある。これは、大正3年10月に湊屋が開店し、第1回湊屋展覧会を開催した時の記事だ。

もう一つ、「美術新報」(通巻第貳百五拾號、大正四年七月)の「紹介」欄には「▼木版畫集『月映』は七月號より體裁、内容を一新すべく、其?同人は爾今毎月十五日呉服橋際港屋に作品を展覧すべし。六月は田中恭、藤森静雄、恩地孝四郎三氏の素畫……」とあり、『月映』VI号の「余禄」で次号の内容更新を予告し、5月に月映?月並作品第1回小聚を湊屋で開催、以後、定期的に開催したころの話であろう。しかし、10月に田中恭吉が和歌山の自宅で死去し、「月映」は11月に発売されたVII号が終刊号となった。

書影=大貫伸樹『装丁探索』(平凡社、2003年)定価:本体2300円(税別)