2012-04-13から1日間の記事一覧

アルファベット一文字の様に単純なサインの場合はよく似たサインがあるが、偶然なのか意図して真似たのか、複雑な形態のサインでもよく似たサインがある。画像は世良田勝:画「ムカシカラノトケイイロイロ」(「キンダーブック」昭和7年)。サイン左が世良田、右は太田三郎。

「赤い鳥」の表紙絵で知られる写実的な童画家・清水良雄(1891-1954年)のサインを眺めながら、どこにイニシャルが隠されているのだろうとさんざん考えたが遂に文字らしいものを発見できなかった。それもそのはず「清水良雄のサインは左向きにうずくまった一匹の兔の略画で、これは彼の生年が卯歳であったからだという」(上笙一郎「挿絵画家のサイン」)と、兎年生まれだから兎をサインにしたという。

初山滋の作品といえば人目でそれと分かるが、サインは難解だ。毎回違うサインを記すので、それと知らない人は戸惑うに違いない。そんなサインについて初山自身が「コドモノクニ」第14巻第5号に「サインの弁」と題して解説をしている。下の真ん中のサインには「とんとん思ふやうに絵がかけて、這入るものがはいつて、やたらに御満足な時、私は……逆立ちをしてよろこびます。」とのコメントが。

武井武雄の「RRR」のサインはよく知られているが、イニシャルでもないこのサインはどこから出てきたのか? その答えは武井自身が刊本作品55番目「ラムラム王」の「あとがき」に明かしている。「私はこの話を書いた時から昭和十三年までの間RRRというサインで絵を描いたが、それはRoi Ram Ramから出たラムラム王の紋章を襲用したのがその始まりである。この人物の生まれ変わりが、もし自分だとすれば盗用にはならないと考えたからである。」と。