2011-07-31から1日間の記事一覧

鴨下晁湖:装丁・挿絵、渋沢青花『浅草っ子』(造形社、昭和55年増補改訂版)は、昭和41年に毎日新聞社から刊行されたものの増補版。大正中頃に「日本少年」の主筆であった青花が、十代の頃に体験した浅草を中心とした回想録だ。晁湖が描いた挿絵が15点が挿入されているが、浅草を愛しむ優しさに溢れていて和まされる。晁湖の代表作となる66歳の時に描いた血しぶき飛び散る柴田錬三郎「眠狂四郎無頼控」(「週刊新潮」、昭和31年5月8日号〜)の挿絵とはまた違った、晁湖の心温かなタッチで明治期の浅草の風俗を今に伝えるいい挿絵だ。

鴨下晁湖:装丁・挿絵、渋沢青花『浅草っ子』(造形社、昭和55年増補改訂版) 鴨下晁湖:画、渋沢青花『浅草っ子』(造形社、昭和55年増補改訂版) 鴨下晁湖:画、柴田錬三郎「眠狂四郎無頼控」(「週刊新潮」、昭和31年5月8日号〜)

ネットで購入した名取春仙:装丁、石川啄木『一握の砂』と、鴨下晁湖:装丁・挿絵、渋沢青花『浅草っ子』が届いた。

名取春仙:装丁、石川啄木『一握の砂』(東雲堂、明治43年、復刻版) 今でこそ評価されているが、まだ浮世絵や日本画系の画家が主流だった明治期に、この表紙の絵はモダンすぎて何が描かれているのかさえ理解してもらえなかったのではないだろうか。まして一…