2011-07-20から1日間の記事一覧

「拙著明治四十三年版の挿畫集の序文で、鏡花全集の一部にも編纂された同氏一流の名文は、百穂氏が私の挿画に就いて言及された序文と共に、よく當時を物語るものだが、殊に草平氏の序文は作家と挿畫家との関係に就いての一家言として味があり参考ともなろうとその一節を茲に抄録した。

名取春仙:画、島崎藤村「春」 〈予が始めて朝日新聞の紙上に小説『煤烟』を公にした当時、此畫集の著者名取春僊氏は連日此小説のために挿畫を揮毫された縁故がある。繪のことは解らぬとは云え、自分の書いた小説の挿畫だから、これは特別の興味を以て日々の…