2011-05-07から1日間の記事一覧

私を始めに煩悶させたのもその源は矢張その様な點であったと思ふ。之等は何れも挿繪と云うものゝ性質や使命を深く考へなかったに帰する。今までは私も全くさう云う考えへは少しも持って居ない、之れは、文學でも他の科學でも、そう一概に簡單に片附けべきものではない。

純文學と大衆文學との異ひはどこにあるか、その可否はどうであるかは一朝には裁斷は下し得まいし、たとへば、科學を通俗的に説明したからと云ってもその眞理には異なる處はない様なものであるし、お能楽が高尚であるから映畫より数等優れた價値があるものと…