2010-08-24から1日間の記事一覧

「見ているだけですめばモデルは幾らでも居る。女を描くという事は、女と生活する意味だ。見ているだけでは本気になれない。描きたいとおもう欲望と、生活を持ちたい欲望とは共通している」(川口松太郎『飯と汁』講談社、昭和35年)多少の脚色はあるだろうが、岩田専太郎の言葉といってもいいだろう。

「形は描けても心が描けない。そんな風に思ってマキにも直ぐ家を持たせた。身体を許してしまったあとのマキは、千吉(*専太郎)のいうことには一切逆らわず、人形のように従順で、希望通りのワクの中に入ってきた。『俺の絵はまた変る。マキのお蔭で変る』と…