2009-10-19から1日間の記事一覧

◎斎藤昌三『第八随筆集 新富町多與里』(芋小屋山房、昭和25年1月1日)。背皮に当たるものが無く、どことなく弱々しい製本で、おせじにも、製本としては褒め言葉がない。

『新富町多與里』表紙 『新富町多與里』函 斎藤昌三の装丁本は手に入れたときに、いつも感動させられる。斎藤昌三『第八随筆集 新富町多與里』(芋小屋山房、昭和25年1月1日)も、そんな刺激的な装丁の本だ。 函には、手書きの生原稿が貼ってある。斎藤昌三…

紀田順一郎氏が「おのれの能力と実績についてのみ世に発言を行った人物」(「蔵書一代 齊藤昌三」、「大衆文学研究」昭和40年)と評するように、齊藤昌三は自己評価の高いナルシストで、自画自讃する文章が多い。が、ここでは賞讃された文章を紹介する。岩本柯青(和三郎)は、庄司浅水、柳田泉らと同人制で『書物展望』創刊した一人なので、いわば身内の話であるが、昌三の仕事について

「処で、この『書痴の散歩』であるが、御覧の通り内容は多岐多様に互つて斎藤氏の博識を発揮して居り、決してロクなものぢやあないなどと、一口に片附けられる代物でないことは、これでお判りであらう。装幀も叉例によって斎藤氏一流の奇抜な考案と、製本屋…