忘れ去られそうな束見本

最近はあまり作ることが少なくなってきた「束見本」だが、今回はさすが大手の出版社、束見本が送られてきた。「束見本」とは、本を作るときに、刊行するものと同じ用紙やページ数で製本して、正確な束(厚さ)を測り、装丁のぐあいを確かめたり、出来上がりの写真を急いで必要なときなどには初校を着せて撮影し宣伝に用いたりする本造りには欠かせないの本の見本のこと。


 だが、先だって、印刷業界の価格破壊で知られるH工業社の営業部長が「そんなものつくったことがない」といっているのだが……、とクライアントから連絡があり、印刷所の営業部長でさえも知らない存在になってしまったのかと驚いた。