非水百花譜』をめざし『伸樹百花譜』を作りた〜い!

【『非水百花譜』をめざし『伸樹百花譜』を作りた〜い!】
 ボタニカルアートではないが、日本のグラフィックデザインの黎明期より活動した現代日本グラフィックデザインのパイオニア杉浦非水には、『非水百科譜』(春陽堂、大正9〜11年)という「花弁写生図集」を基にした植物版画集がある。植物にはことのほか興味を持っていたようだ。

左=杉浦非水「やまゆり」(『非水百花譜』第3輯)
右=杉浦非水「つはぶき」(『非水百花譜』第4輯)


 「非水は三越のポスターで、アール・ヌーボー様式のデザインを全面に駆使して新しい効果を挙げたが、その翌年の『三越』(*PR誌)の表紙デザインには、アール・ヌーボー様式よりも、より自然なそして単純化した非水独自の日本画風のスタイルで、人物・風景・花鳥などを描いており、これが非水独自のスタイルで基本となっている。しかもそのモデルとなったものは、山名(*文夫)氏が云うとおりすべて直接自然の風物を、自ら写生により得たものであるから創作である。」(田中富吉「創作図案家 杉浦非水」『杉浦非水展』1994年)と、アール・ヌーボーを摂取しようと努力したのは確かだろうが、花鳥風月の写生を基本として描く日本画を学んだことが幸いして、タイミングよく訪れた時代の流れに乗ることが出来たものだと思われる。

杉浦非水「のうぜんはれん」(『非水百花譜』第14輯)


 非水は「植物本来の生育状態や其習性の観察が本当でなかったら、自然の命は捕まえられたものではない。一局部の写実の綜合は自然への冒瀆であるからである。」(非水漫録(四)、『アフィッシュ』)と、自然の状態で育ったものでない花の部分だけの写生は「自然への冒瀆」だと、きびしく批判する。

杉浦非水「ばら」(『非水百花譜』第6輯)


 この『非水百科譜』を目標に、私もいつの日か『伸樹百花譜』を作ってみたいと夢見ながら、ボタニカルアート教室に先月から通い始めた。

杉浦非水「じゅずだま」(『非水百花譜』第12輯)