「若冲展」に行ってきた

明日が最終日となる「若冲展」に行ってきた。切符を購入するのに2時間待ちという人気ぶりで、気温30度の炎天下に長蛇の列ができていた。

 テレビや雑誌で見慣れた人気作品の前では、なかなか動こうとせず黒山の人だかりだ。作品から30〜40cmくらいしか離れていないガラスを隔てて見ることができるので、鳥の胸や羽の細部まで見ることができる。これはかなりの驚きだった。蓮の葉の葉脈などもまるで本物のように細いところまで描いていた。

 40歳から本格的に描き始め、85歳でなくなったという、遅咲きの花だったことも私に夢を与えてくれた。



若冲は「絵から学ぶだけでは絵を越えることができない」と思い至り、目の前の対象(実物)を描くことで真の姿を表現しようとした。生き物の内側に「神気」(神の気)が潜んでいると考えていた若冲は、庭で数十羽の鶏を飼い始める。すぐには写生をせず、鶏の生態をひたすら観察し続ける。朝から晩まで徹底的に見つめる。そして一年が経ち見尽くしたと思った時、ついに「神気」を捉え、おのずと絵筆が動き出したという。鶏の写生は2年以上も続き、その結果、若冲は鶏だけでなく、草木や岩にまで「神気」が見え、あらゆる生き物を自在に描けるようになったようです。写真は、若冲南天雄鶏図」。


鳥をモチーフにした絵が圧倒的に多かったです。若冲は鶏が大好きで、「動植綵絵」シリーズ全30幅のうち、実に8点が鶏の絵でした。中でも『動植綵絵(さいえ) 郡鶏(ぐんけい)図』は虫眼鏡を使って描いたのかと思われるほど細密でド迫力でした。