江戸時代に刊行された木版手摺の漢字辞典?『新増字林玉篇大全』

事務所にある本を身長の2倍ほどリサイクルに出してきた。そんな中から写真1『新増字林玉篇大全』(寛政9〔1797〕年)など、江戸時代から明治初期に刊行された、木版手摺の漢字辞典のような本を数冊持ち帰ってきた。これ等の文字が1文字1文字木版を彫って、1枚1枚手摺で刷ってあることが驚異的に感じられ、江戸の職人技のすごさを垣間見る思いがした。江戸の工芸品のような本をリサイクルに出してしまうのはあまりにももったいなく捨てられなかった。
写真1


 かつて、明治期などの古い内容の本の装丁をする時に題字には、この「字林玉編」から文字を拾いだし、旧字は現代文字に作りかえ書体集として使うと、手書き文字とは一味違う雰囲気のある題字が出来るので、便利に使わせてもらった。
写真2


写真3


 そんな「字林玉編」をつかった作品例、写真2は紅野敏郎編『矢田津世子宛書簡集』(朝日書林、1996年)、写真3は大屋幸世『蒐書日誌 四』(皓星社、2003年)、表紙のオブジェも担当しました。