【101冊の挿絵のある本(2)】……近藤浩一路:挿絵、佐々木邦『珍太郎日記』(弘学館書店、大正11年3月6版、文庫本、布装上製本)は、佐々木邦が月刊誌『主婦之友』(大正9年)に連載したエッセー12編に近藤浩一路が挿絵を寄せたものを1冊にまとめたもので、84点の挿絵が挿入されています。
今回は、その中から20点を紹介させていただきます。挿絵の内容が理解できるように、文章も一緒に取り込みましたので、そのまま1ページを掲載します。
近藤 浩一路(こんどう こういちろ)は1884年(明治17年)に山梨県南巨摩郡睦合村(現南部町)に生まれた日本画家であるが、漫画家としても名をなした。 裕福な家庭に恵まれ医者になるよう期待されていたが、浩一郎本人は文芸誌への投稿や俳句などにのめり込んでいき、20歳で東京美術学校西洋画科に入学した。 在学時代は西洋画を軸に学んだが、水墨画や文芸活動にも手をだすなど多面性を見せている。 卒業後は友人の藤田嗣治(画家、彫刻家)らと水墨画や漫画の展覧会を主催するなどしていたが、結婚を機に読売新聞社に就職し、政治漫画や挿絵を担当することになった。 夏目漱石の「坊ちゃん」の新潮文庫版に挿絵を描いているが、ほのぼのとした表現で見るものを微笑ませる。 交流のあった芥川龍之介は「画そのものの滑稽な漫画であり、威儀を正しさえすれば、一頁の漫画が忽ちに、一幅の山水となる」と評している。(「発光堂」)より。
昭和37年(1962)歿、78才。