円本全集は挿絵の宝庫!(4)…武井武雄:挿絵『小学生全集』第5巻《

 「アンデルセン童話集」(『小学生全集』第5巻、興文社・文藝春秋社、昭和2年)は、武井武雄(1894年6月25日-1983年2月7日)の画集であるかのように、すべての挿絵を一人で描いているのが魅力的だ。表紙絵や口絵の他に、1ページ大の挿絵40点、豆カットが11点という豪華版だ。
 「自分は文学者であるから、此の全集の中に、世界の少年少女文学の傑作は悉く集めることにした。『クオレ』『少公子』『ジャングル・ブック』『家なき子』『ピイタア・パン』などは、面白いこと無類で、これをよむとよまないで、子供の性格や情操に差違が生じはしないかと思はれるほど、強い感銘を与へるものだと思ふ。『アレビアン・ナイツ』『イソップ』『アンデルセン』『ロビンソン・クルーソー』はいづれも童話の聖書であるから、これをのぞくことは出来ない。その上、定価は三十五銭である。菊判三百頁(ページ)で、三十五銭……」(昭和2年5月 菊地寛)
 そう、円本全集というが、この全集は1冊35銭なのだ。「アンデルセン、この小父さんの書いてくれたこれらの可愛い美しいお話を、皆さん、お互ひに大人になってからも忘れないやうにしませう。」(昭和3年7月 菊池寛
アンデルセン童話集》(『小学生全集』第5巻)には、
 ・樅の木  ・チビ子物語  ・ひな菊  ・醜い家鴨の子  ・飛行鞄  ・小さなイーダの花  ・夢神  ・うぐひす  ・幼いマッチ売り  ・大きな悲しみ  ・お月様から聞いた話  ・小さな人魚姫
の12話が収録されている。
 今回は、武井武雄が描いた挿絵をそれぞれの短編から1点づつ紹介しよう。


武井武雄:挿絵『小学生全集』第5巻表紙(興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「うぐいす」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「お月様から聞いた話」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「チビ子物語」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「ひな菊」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「醜い家鴨の子」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「小さなイーダの花」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「小さな人魚姫-2」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「大きな悲しみ」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「飛行鞄」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「夢神」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「幼いマッチ売り」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年



武井武雄:挿絵「樅の木」(『小学生全集』第5巻「アンデルセン童話集」興文社・文藝春秋社、昭和3年