大正昭和初期の装丁を語るなら創作文字もやらねばね

装丁に於ける文字の重要性はいまさら私が声を大にして叫ぶべきものではなく、当然のこととして受け入れられてきている。
しかし、創作文字と装丁の関連については、これまであまり語られることななかったのではないかと思う。

自分自身への反省も込めて、大正末から昭和初期にかけて盛んに行われた創作文字や図案文字について調べてみたくなった。
とりあえず当時発行された創作文字の本を集めてみようと思い小手始めに
・藤原太一『絵を配した図案文字』(東光堂、昭和7年16版、初版は大正15年6月)
を購入した。






函のタイトル文字といい、表紙の図案といい、最高ですね。大正末期から昭和初期にかけての雰囲気を見事に伝えていますね。


本文中の挿絵やタイトル文字も身震いするほどにいい雰囲気がある。著者の藤原太一似ついてはこの洪以外は何も情報がないが、かなり活躍したデザイナーなのではないだろうか。


ネットで検索すると
・『図案化せる実用文字』(杉浦非水序 大日本工藝学会、大14 )¥20,000円
・『色彩図案と図案文字』(序文:杉浦非水、大和出版、昭和2年)¥57,750円
などを見つけることができる。


さらに、ネット
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pro/typography2/hk01/hk01_7.htm
には

「藤原太一は、1918年に仁丹本舗の広告部に入社、26年2月からはベルベット石、31年7月からはカガシ化粧品(丸善商店化粧品部)で活躍した大阪のデザイナーですね。これからみていく『図案化せる実用文字』のほかに、『絵を配した図案文字』[★図11](1926年)という描き文字集もあります。
 藤原の特徴は、造形的な完成度に力点をおいた点です。自身が目指す方向性について、彼は『図案化せる実用文字』の序文にこう著わしています。


文字を図案する――これも一つの芸術であると云いたい。(中略)詩歌や絵画に於て、僅か一点の無駄な言葉、僅かひと筆の不要な線があってはならないように、其れは文字を図案する上に於ても全く同様のことである。

彼の方向性は“ロゴタイプ派”といってもいいでしょう。あとで紹介する矢島周一が描き文字を一揃えのフォントとして捉えた、いわば“書体開発派” ですから、ふたりは対照的な存在ですね。」


とあり、やはりかなり活躍していたデザイナーだったようだ。

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へどうぞ
★下記のHP「吉祥寺経済新聞」に紹介記事がありました。ご覧ください。
大貫伸樹さんが装丁を語るイベント−セレクト古書店「百年」で開催
http://kichijoji.keizai.biz/headline/290/index.html