一冊の本に、「弘」のつくさし絵家が3名も

下記の挿絵は『修養全集 日本の誇』第12巻(大日本雄弁会講談社昭和3年)に掲載されていたものだが、この「弘」という落款はなんの疑問も持たずに中沢弘光のものだと思っていた。しかし、この挿絵には挿絵家名が活字で記されていない。そして目次には30名のさし絵家名が記されている。このことがちょっとした問題を引き起こす事になる。



30人の挿絵家の中には、「弘」という文字を名前に使用している中沢弘光、嶺田弘、羽石弘志の3名がいるので、3人がこの落款を使う可能性がある。そんな中、嶺田弘のサインを見つける事が出来、一歩解決への道が開けた。下記の「MINETA」がその落款だ。




一人減り、後は二者択一なのだが、これが即座には解決できない。この二人の落款を他の本から探してくるしかない。下記の写真は中沢弘光と杉浦非水が作った「乱れ髪カルタ」からスキャンした中沢弘光の落款だ。



これだけではまだ立証したことにはならない。そう、羽石弘志もよく似た落款を使っているかも知れないからだ。